万夜一夜 part02
目が覚めるとあなたは暖かいベッドの中にいました。
見知らぬ部屋のようです。
そして、手が暖かい。
あなたの大切な人が、ベッドの隣に座って、
あなたの手を握ってくれています。
よかった……。
探索者たちは似た作りの別々の部屋にいた。
部屋は落ち着いた雰囲気でそれなりに広く、ベッドが二つあることから二人部屋だということがわかる。
窓の外は酷い吹雪のようだ。
猛吹雪のせいなのか、携帯の電波は届いていない。
自身も墜落事故で傷を負ったはずだが、特に怪我もしていないようだ。
「よかった海帆生きてたーー!!」
って海帆と抱き合います。
「想姉ちゃん、良かった無事だったんだね」
「ね、姉さん無事なのか? 良かった」
友姉の手を強く握ります。
友姉は優しく握り返します。
ちなみにさっきの墜落で死んだなって自覚はあるの?
墜落したのはわかります。
無傷なのはさすがにおかしいなって思います。
OKOK。
HPは戻していいよね?
もちろん戻していいです。
減らしてなかった。
まあそうよね。
「ここは?」
って姉に聞く。
「わからないけど、私たちを助けてくれた人が
いるんじゃないかしら。そうじゃないと今も
墜落した飛行機の中だろうし」
起き上がったりはできる?
できます。もう普通に行動していいです。
じゃあ挨拶にでも行こうかって提案……いや違うな。
「どうしようか?」
「挨拶にでも行きましょうか」
って感じにする。
全部姉任せなのか。
じゃあこっちも
「とりあえず部屋から出てみよう!」
「そうだね!」
ってする。
こっちも同じ感じで。
私は友姉と事故について話し込んでいます。
なのでまだもうしばらく部屋からでません。
じゃあ3組が部屋から出てばったりって感じかな。
それでいきましょう。
あなたたちは部屋から出ると、
それぞれの部屋から1人ずつ出てきました。
つまり2人しかいない?
大切な人がいない。
んっふっふ……。そういうやつか。
「飛行機に乗っていた方々……ですよね?」
って言って2人に言います。
まあこれだけだと見えないの伝わらないけど。
「うん、乗ってたよ。ねぇ海帆!」
「そうだね帆波!」
じゃあ、想姉ちゃんに
「この人事故のショックでなんかあれなのかな……」
って話すけど、その姿も……。
僕は周りには見えてない姉の後ろに隠れる。
姉貴の服の裾をぎゅっと掴む。
「みんな面白いね、海帆!」
「みんな変わってるね、帆波!」
やばー! これどうすりゃいいんだ!
収拾がつかない!
<聞き耳>していい?
廊下の会話が聞きたい。
振らなくても聞こえていいですよ。
じゃあ話し声につられて廊下に出ます。
ちなみにさ、他の探索者に<精神分析>とか
振ったりできる?
そっか【埒外の世界】の推奨技能だからあるのか。
いいですよ。
じゃあ最初に変な風に見えた帆波さんに……。
ちょっとあなた疲れてるのよ、って。
失敗した。自分が疲れてるのよ……。
「私は藤崎帆波です!
こっちはお姉ちゃんの海帆です!」
「どうも、海帆です!」
声も聞こえ無いよね?
聞こえなーい。
「あれ? どうしたんですか?」
あっはっはっはっは……。
じゃあめっちゃ困った顔する。
この状況ってどう考えてもおかしいよね。
そうですねー。もちろんSANチェックです。
<SANチェック>
二西碧 | 58>82 | × | |
繭取順二 | 60>81 | × | |
今城結衣 | 90>83 | ○ | |
藤崎帆波 | 60>03 | ○ | クリティカル! |
なんでこんなところでクリティカルしちゃうんだろ。
成功は1失敗は1d4です。
1d4? 結構いくねー。
グロいの見ても1d3とかじゃないっけ?
どう考えても頭おかしい人が目の前にいる上に、
自分の大切な人が周りに見えていない
ダブルパンチなので。
あー。
<SAN値減少量>
二西碧 1d4→2
繭取順二 1d4→4
<現在SAN値>
二西碧 58→56
繭取順二 60→56
今城結衣 90→89
藤崎帆波 60→59
やばそうだけどどうしよう、
って感じで姉の方を見る。
「この人たちも助けられた人みたいだし、
みんなでいきましょ」
「そうだね」
そういえば名乗られたんだから名乗っておこう。
「僕は二西碧です」
……また『こっちは』って紹介するのかぁ!!
えーっとでは、
「星野想です」
と自分で言います。
「よろしくー!」
「私は今城結衣です」
「文倉友子です」
「繭取一華よ」
「弟の順二です」
「弟の?」
こっち視点ではやべー女が『弟』ってワードに
食いついてきやがったって感じ。
女が多いなー。
姉が多い。しかも属性が少しずつ違う。
普通の姉と双子の姉と義理の姉と姉っぽい人。
確かに! 確かに!
普通の姉が一番だよ。特にトッピングはいらない。
持ち物とかはどうなってる?
外は吹雪だっけ。じゃあ時間わかんないな。
時計見たら何時くらい?
お昼過ぎくらいですね。
「とりあえずこの建物の持ち主を探したほうが
いいかなぁ。ねぇ想姉ちゃん!」
「そうだね、それがいいと思うよ」
「姉ちゃんって誰? どこにもいないじゃん!」
「さっき自己紹介してたじゃないですか」
「えー」
「とりあえず行きましょう」
「そだねーそだねー! 行こう!」