『万夜一夜』雑記
『万夜一夜』のあとがきのようなページです。
「(神話生物名) シナリオ」で検索したとき用の対策も兼ねてます。
(1)このページの目的
一言でいえば、上述した通りあとがきです。
だいたいのことは
リプレイのお疲れ様会で語ったのですが、話し足りない部分があるので作りました。一部内容が重複します。
さらに言えば、配布ページには登場する神話生物について書けないので
「(神話生物名) シナリオ」
で検索したとき用の対策も兼ねてます。
以前「原ショゴス シナリオ」で検索したときに作者のシナリオ配布ページでは無く、その方の雑記だけが検索でヒットしたことがあるので……。
配布ページやリプレイよりも先にこのページにたどり着いた方はそちらを先にご覧頂くと良いかもしれません。
配布ページは
こちら
リプレイは
こちら
以降はネタバレを含みます。
登場する神話生物目当てで来た人向けに、最初は神話生物について書こうと思います。
(2)登場する神話生物
実際に登場する神話生物と、名前だけ登場する神話生物、名前すらぼかしてある神話生物に分けられます。
それぞれ3体、2体、1体ですね。
実際に登場する神話生物は、ミ=ゴ、アニミークリ、モルペウスです。
ミ=ゴはオーソドックスな神話生物ですけど、一方でwebで公開されているアニミークリ登場シナリオは、私の知る限り3つほどしかありません(2018年時点)。
そのうち一つは超短編ネタシナリオのチョイ役なので、メインに据えてあるのは3つ目だと思います。
というわけで全国のアニミークリ難民に届くことを願います(アニミークリ難民とかいるんだろうか……)。
モルペウスが登場するシナリオは見たことありませんが、ギリシャ神話由来の神なら似たようなものにヒュプノスがいますので、わざわざモルペウスが登場するシナリオを探すような人はいないでしょう。
いたらごめんなさい。モルペウス難民にも届くことを願います。
名前だけ登場するのが、ウボ=サスラとヒュプノスですね。まあ、ポベトールとパンタノスの名前も出ますけど。
ウボ=サスラも登場してると言えなくもない。
名前をぼかしてある神は、みんな大好きアザトースです。シナリオを作っている途中で双子だと知って驚きました。
白痴というキーワードが出て来たので見抜いた人も一定数いるかと思います。
(3)シナリオの発端
以前から
1.ロズウェル事件を題材に何か作りたい
2.ミ=ゴの脳を人間に入れたい
3.アニミークリが登場するシナリオを作りたい
という野望を持っていました。
元々は3つとも別々のシナリオとして考えていたのですが、いろんな要素が合致した結果、1つに集約されることになった次第であります。
①ロズウェル事件を題材に何か作りたい
本編でも描写があったように、ロズウェル事件はUFOが墜落し、米軍が回収したことで有名な事件です。
私はこの事件のことを、
『イリヤの空、UFOの夏』というノベルで知りました。
まあ、このノベルでは名前が出てくる程度なのですが、これを読んで以来ロズウェル事件が大好きなのです。
万夜一夜に話を戻しますと、とりあえずUFOが墜落したわけなので、宇宙船に乗り込む系の神話生物を出す必要がありました。
宇宙船を持つ神話生物といえばシャッガイです。シャッガイはアザトースの欠片を動力とした宇宙船で航行することで有名です。
なので最初はシャッガイが人間に取り憑いている設定を考えていたのですが、一般非公開の私の処女作の黒幕がシャッガイだったのでボツっていました。
しかもそっちは精神交換されたイス人が黒幕だと思わせて、その精神交換の上からシャッガイが取り憑くという二段構えだったので、インパクトの面でも劣っていたのです。
一方ミ=ゴは生身で宇宙空間を飛行するため宇宙船が不要です。そういうわけで中々候補に挙がりませんでした。
ミ=ゴに切り替えたきっかけは、ミ=ゴには様々な種類がいて、そのほとんどは補助具が無ければ生身で飛行できないという設定を知ったからです。
今思えば、生身で宇宙空間を飛行できても乗り物を活用する可能性は否定できませんね(笑)
リトルグレイとミ=ゴが同一視されているのを知ったのは切り替えた後で、カロンについて知ったのも切り替えた後です。
②ミ=ゴの脳を人間に入れたい
友人とミ=ゴについて考察していたときに思いついた設定です。
私は人間に寄生、または擬態する神話生物が好きで、いろんな神話生物を人間に擬態させることを日夜考えていました。
「どうすればミ=ゴは人間に擬態できるのか?」という私なりの答えです。
ちなみに軽く検索してみたところ、ミ=ゴが人間や動物の脳を他の動物に移植するシナリオはあるようですが、ミ=ゴの脳を人間に入れるシナリオは見つかりませんでした。やったね。
③アニミークリが登場するシナリオを作りたい
アニミークリを知ったのは、
冷たきアニの熱量というシナリオです。
私は人間に寄生、または擬態する神話生物が大好きで(2度目)、アニミークリが登場するシナリオを友人と練っている時期があったのですが、結局そのシナリオは完成しませんでした。
アニミークリに惚れ込んだ私は諦め切れず、アニミークリシナリオを新たに作り始めました。
飛行機事故で死んだはずの大切な人が生きている! という展開を作り、探索者から熱を奪い続けるシナリオを考えていました。
この辺りでロズウェルのシナリオと合体させた感じです。
ちなみにアニミークリが大切な人に化けるという設定はシナリオ執筆終盤まで残り続けていました。
ですが、既にミ=ゴが人間に化けてるのに、擬態する生物がもう1種類いたらPLが混乱するだろうと配慮した結果、万夜一夜においてアニミークリは一切人間に化けません。悲しい。
(4)登場人物について
①ジェシー・マーセルについて
ジェシー・マーセルはシナリオ中に説明があった通り、ロズウェル事件が有名になった原因の1人です。
UFOの残骸を回収した点、スタントン・フリードマンに情報提供した点、軍に所属していた点、息子がいる点は史実通りですが、それ以外は独自設定です。
1人で調査に行ったという記録も無いし、ヘリコプターを操縦出来たという記録もありません。
彼に関しては
こちらを見た方が早いです。
年齢に関しては情報が無かったので、階級から推察しました。
実はシナリオ中、一言もセリフが無い。チョイ役の息子の方がセリフがある……。
②ユッグ=ゴトフについて
ユッグ=ゴトフはキャラの方向性が中々決まりませんでした。
というのも、ミ=ゴは利害が一致した人間と協力関係を結ぶことがあるとはいえ、ここまで親切なキャラにしてよいものか悩んだのです。
ボツった案の中には、肉体の限界を感じたユッグ=ゴトフが協力者を集めるために、飛行機が通過するタイミングで巨大アニミークリを刺激したというものもありました。
結局、徹頭徹尾、親切な設定にした理由は、探索者にカロンを使って貰わないとシナリオが破綻するからです。ユッグ=ゴトフに恨みがあると使って貰えない可能性が激増するので……。
ユッグ=ゴトフがここまで親切なのは、比較的人間に優しい種類のミ=ゴの中でも特に変わり者、くらいに考えてます。
親切にしないとシナリオが破綻する一方、いい人すぎてシナリオに起伏が生まれないという問題も発生しましたが、モルペウスの導入で解決されました。その辺りはモルペウスの項で語ります。
ユッグ=ゴトフは名前も難産でした。
唯一の救いは、ミ=ゴの司令官の名前がヌガー=クトゥンという設定があることです。
個人名の設定がある神話生物は少ないので、まだマシな方だったと思います。
命名はユゴスの読み方違いを途中で区切っただけです。
③ヌガー=クトゥンについて
大した設定はありませんが、実現性が低い、カロンの研究の重要性を訴えるユッグ=ゴトフの可能性を信じ、司令官という立場を利用して重役に根回しし、予算を獲得してくれたという裏設定があります。
周りへの説得力を増すために、ユッグ=ゴトフと2人で地球に視察に来たところ、吹雪に会い死亡しました。
墜落したのに救助隊が来ないことから、研究ごと本部に見限られ、獲得した予算などは白紙に戻ったことでしょう。
ユッグ=ゴトフほどの変わり者では無いので、助けを求めてきた人間は助けません。
これは、不確定要素を増やすと、上から予算を減らされたり計画を白紙にされる危険があるからという理由も大きいです。
④モルペウスについて
当初はジェシーを疑わせるためだけに導入したキャラです。
登場したその瞬間からジェシーと同等の信頼を稼ぐ必要があったため、旧き神の誰かにしようと初めから決めてました。
ギリシャ神話など、現実にも存在する神話の神のほとんどは旧き神として扱えるらしいので、「神話 夢」で検索してヒットしたモルペウスが見事採用となった感じです。
クトゥルフ神話にはヒュプノスというギリシャ神話出身の有名な旧き神が存在するので、その息子という点も魅力的ですね。
最後にエルダーサインの使い方を教えたり、人間担当という設定があったりと、思いのほか活躍してくれるキャラになったと思います。
⑤大切な人について
端的に言えば、探索者のモチベーションを作るために存在しています。
それぞれの大切な人を設定するという発想は、夏緋スピカ氏の一般未公開シナリオを参考にしました。そのシナリオめちゃくちゃ好きなので公開して欲しい……。
NPCがシナリオの中心になって探索者が蚊帳の外みたいなシナリオや、特定の探索者しか重要NPCと関われないシナリオだと、一部の探索者がただそこにいる人みたいになってしまうことが多々あると思うのですが、それらを解消する素晴らしい手法だと思います。
自分で考えたキャラというのはそれだけで愛着が沸きますしね。
難点としてはKPが人数分演じ分ける必要があることかな。
大切な人に化けるアニミークリという設定の名残で執筆時はずっと残っていたのですが、これはこれで満足のいく仕上がりになったと思います。
⑥アニミークリについて
人物では無い気がしますが、ミ=ゴとモルペウスをここに書いた以上、他に分類が無いのでここに書きます。
当初はシナリオの見せ場の8割近くを担う予定でしたが、半分以上をミ=ゴに持っていかれました。
一番の見せ所である人間への擬態が消えたから……。
それでも、
・カロンの材料
・唯一の敵対者であり、元凶でもある
・ラスボス
という要素があるので存在感はかなりあると思います。
ウボ=サスラの分泌物がカロンの材料になることを私が知ったのが運の尽きです。
(5)シナリオについてその他
リプレイの方でも言っていますが、サイクルシステムを導入するのに非常に不安がありました。
クトゥルフTRPGといえば探索、聞き込み、ちょっとした戦闘という黄金律があると分析しているのですが、サイクルシステムでは探索と聞き込みが無くなるからです。
作中で50年も経過するのに舞台もNPCも変わらないから仕方ないんですけどね。
それに代わる面白さを作り出すために導入したのが技能成長&特殊イベントです。
蓋を開けてみれば好評で良かったと思います。
作中で50年という月日が流れるシナリオは他に類を見ないと思うので、本シナリオにおける最も売りにできる要素の1つだと思います。
他に類を見ないと言えば、カロンをシナリオに組み込んでいるものはほぼ無いのではないかと思います。
カロンは本来、衛星と同程度の大きさの装置だそうですが、本シナリオでは基礎研究段階ということで、小規模実験用の小型カロンを作る話としています。
本来の物を作るためには悠久の時をかける必要があるそうですが、50年かけても小型カロンを作るくらいの説得力しか持たせられないため、本来のものをクトゥルフTRPGで登場させるのは不可能に近いかと……。
アニミークリの攻撃方法は先駆者がいるのでまあいいとして、HPの変更は誰かに怒られないか少し心配ではあります。
作中に登場するSIZ4のアニミークラムですら攻撃力2d4でHP16(アニミークリのHPの計算は特殊)なので、数値が頭おかしいですね。
SIZ40の巨大アニミークリにいたっては攻撃力8d4でHP88です。
この変更には一応根拠があって、ウボ=サスラはSIZ300のHP300なので、本体と同じ比になるようにSIZ=HPにした次第です。
まあ、ウボ=サスラのHPは退散するだけで消滅したりしないのですが……。
ちなみに巨大アニミークリが小さいアニミークラムを産むのは、ウボ=サスラが持ってる<雛を生産する>のイメージです。
氷に覆われた山肌の裂け目という描写もウボ=サスラがいると言われる氷の裂け目をイメージした描写です。
(6)リプレイについて
本シナリオは2回セッションを回していまして(私が参加したのは1回目のみ)、1回目をリプレイにしています。2回目のときのPLが3人で、十分にシナリオを回せたと言われたので本シナリオは推奨人数を3人以上にしています。
二西碧が継続探索者として登場する関係で埒外の世界のリプレイも作成する必要が出たのですが、リプレイの作成を許可してくださった皐月野鷽様、イラストを描いてくれた夏緋スピカ氏に感謝申し上げたいと思います。
リプレイでは何食わぬ様子で進めていますが、10年、20年も戻ることを初回セッションではまったく想定しておらず、あの辺りはアドリブで進めております(笑)
驚くことに、想定していなかったのに全く破綻が無いんですよね。リプレイ中に夏緋スピカ氏(碧くん)が「神神神神!!」とか興奮しているのはその辺りの事情もあったりします。
当然、ステータス変化とかも全く想像しておらず、STR18にするとか言われたときはめちゃくちゃ驚きました。
そういえば、ウボ=サスラの原形質からショゴスは作られたという設定があるので、より深淵に近づくという意味で、碧くんはキャンペーンシナリオをやってるかのような趣がかなりありますね。
リプレイの探索者たちについては語りたいこと多すぎてやばいので
ここで追加で語ってます。
また、2回目の本編のリプレイは作っていませんが、1回目では選ばれなかった入れ替わりENDに進んでくれた人がいたため、おまけでその部分だけはリプレイ作れてよかったです。
個人的には入れ替わりENDの方が好きなんです。それに、2回目のセッションのKPは夏緋スピカ氏がやってくれたので、KPが異なる場合の実験にもなったので大変ありがたかったです。
現在公開しているシナリオは、上述の2度のセッションを参考に一部組みなおしたもので、細部は異なりますが大筋は一緒なのでKPするときは参考にしてくださいまし。
プレイ報告して頂けると私が泣いて喜びます。
雑記は以上です。
ここまで読んでくださってありがとうございました。